宗教から異文化理解を学ぶ(浜田寛子)

 先日、神戸市中央区にある神戸モスクへ訪れた。筆者自身、9月からイスラム圏であるトルコへの交換留学が決まっていたこともあり、以前から気になっていた。神戸モスクは、日本最古のモスクで、1935年(昭和10年)に建てられた。第二次世界大戦の時も、阪神淡路大震災が起こった時も、このモスクは凛とそびえ立っていたという。

 筆者が訪れたのは、平日のお昼ごろ。ちょうど12時半からお祈りが始まるところであった。イマーム(牧師)がモスク内へ案内して、筆者はお祈りの様子を見学した。男性はモスク内の1階で、女性は2階でお祈りをするらしい。筆者は2階へと案内された。12時20分頃、イマームが、アザーン(お祈りの呼びかけ)を始めた。キリスト教の礼拝で例えるなら、チャペルオルガンの音色の役割と同じだろうか。静かなモスク内に響くイマームの声が、とても神秘的に聞こえ、イスラム圏の国に訪れているような気分だった。

 お祈りが終わった後、イマームにお話を伺った。彼はサウジアラビア出身で、ここに来て38年になると言う。イスラムのことを教える上で、特に意識していることは何か?と尋ねた。「イスラムのことについてあまりよく知らない人が多い。ムスリムにとって小さい頃から家族の影響でアッラーを信じることは一つの習慣のようになっていることや、どのように宗教が日常生活に浸透しているかも学んでほしい」。彼がイスラムについて話しているうちに、筆者ははっと我が身を振り返った。ムスリムにとって、信者がアラブ人か、非アラブ人かというような人種のことは聞いてはならない。しかし、筆者は普段外国人と会話をするような感覚で、彼の出身国を尋ねてしまった。もちろん悪気などなかったが、一瞬彼の表情が曇ったように感じた。そして、無礼であった自分を恥じた。

 国や宗教が違えば、必ず文化も異なってくる。これからの日本は、今よりももっと多文化共生社会へと変化していくだろう。その中では、相手の文化を少しでも知ろうとすることが大切なのではないかと思う。神戸という街は、本当に興味深い。なぜなら、身近に「異文化」を感じることができるからだ。そんな街が、異文化理解への扉を開けるきっかけを筆者にくれた。