<中東周遊取材>レバノンへ波及するシリア内戦の戦火(森口広大)

 2011年1月、シリアで行われたバッシャール・アル・アサド政権に対する反政府デモが武力衝突へと変貌して以来、シリア各地では3年以上にもわたって、激しい戦闘が繰り広げられている。それにより現在、シリア南西に位置する隣国レバノンにまでも戦闘は波及し、シリア内戦を戦う各勢力の支持者たちによる戦いが度々繰り広げられている。

 筆者はそのようなシリア内戦の影響を取材すべく、2014年11月、レバノンへ渡った。筆者が訪れた北部トリポリでも2014年10月24日から26日の3日間にかけて、アル・カイダ系列の戦闘員とレバノン軍による戦闘がおこった。訪れたのは約2週間が経過した後ではあるが、未だに軍の車両があちこちに駐車されており、至る所でライフルを持った兵士らによる検問が行われ、まさに厳戒態勢であった。筆者のカメラのデータは逐一兵士にチェックされ、少しでも軍関係の物が写真内に写っていると問答無用に消去させられる。戦闘の舞台となったスンニ派居住区の町を歩くと、黒焦げになり、弾痕にまみれたボロボロの建物があちこちに残っているのを目にした。崩れそうな足場で作業を行う男性は自宅の修理をしながら「こういう時の支援は無いから。自分で何とかしないと」と話す。

 シリアでは現在、主にロシア、イランが支援するアサド政権、欧米諸国が支援する穏健派反体制派シリア国民連合に加え、「イスラム国」、アル・カイダ シリア支部の「アル・ヌスラ戦線」による4つ巴の戦いが繰り広げられている。

 シリア内戦は来年で4年目を迎える。

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写真:弾痕にまみれた自宅を修理する男性(撮影=森口広大)

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写真:煤まみれの食器が戦闘の激しさを物語る。背後には「反アサド政権」を意味する3つ星のシリア国旗とアル・ヌスラ戦線の旗が見られる。(撮影=森口広大)

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写真:戦闘により破壊されたトリポリのスンニ派居住区。(撮影=森口広大)