トルコ・イズミット湾横断橋見学 (浜田寛子)

 11月某日、筆者はトルコの国家プロジェクトであるイズミット湾横断橋プロジェクトの工事現場を見学した。この事業は2012年から日系企業IHIにより着工が始まり、2015年度末に完成予定である。トルコ北西部に位置するマルマラ海のイズミット湾に横断橋を建設することで、トルコ最大の都市イスタンブルと、第3位の都市イズミル間の距離を縮めることが狙いだ。現在、この事業には208名のトルコ人スタッフと、108名の日本人スタッフが携わり、現場全体でのスタッフの総数は1800名にものぼる。IHIといえば1998年に世界最長の明石海峡大橋(1991m)の事業を手掛けた企業であり、過去40年に渡りトルコの吊橋事業も手掛けている。中でもアジアとヨーロッパを結ぶ、第一・第二ボスポラス海峡大橋はイスタンブル市民をはじめ、イスタンブル周辺の県民にとって必要不可欠な存在だろう。

 この日見学させて頂いたのは、吊橋の主塔の部分だ。北側アンカレッジから船で南側主塔まで移動し、高さ252mの主塔の上まで登らせて頂いた。南側主塔へ到着すると、現場の作業員が「Merhaba!」(こんにちは!)と明るく挨拶をしてくれた。地上252mからの景色はとても気持ちよく、吊橋の完成が待ち遠しくなった。また感動したことは、北側主塔には「Rising Sun Japan」(日の本、日本)、南側主塔には「Aya Turkey(月なるトルコ)」と書いてあった。つまり、トルコの国旗だと分かるようにしたのである。「月はトルコを象徴する」。細かい部分も手を抜かない、粋なこだわりを感じた。

 この日案内して下さったIHIのスタッフの方に、トルコ人と働くということについて伺った。「彼らはおしなべて真面目で、1つの工程を終えるまで熱心に働く。しかし一方でプライドが高く、一度失敗するまで自分の意見を曲げないのが特徴。いくらアドバイスをしても、失敗するまで聞かないので、敢えて失敗するまで待ちます(笑)」また、興味深かったことは、情報漏洩を防ぐことの困難さだ。「彼らはとてもおしゃべりで、給料をいくらもらっているかということまで仲間内で話している。なので、しばしば“アイツは多額の給料をもらっているのに、なんで自分は少ないのか!”とクレームがきたりします」と苦笑しながら、担当者は語った。

 この日の見学を通して、トルコと日系企業がどのようにつながってきたか、また現在もつながっているか知ることができた。現場の作業員の方には、安全第一でこれからもこのプロジェクトに携わってほしい。そして、この橋が日本とトルコを結ぶ架け橋になることを願う。

f:id:link-hensyubu:20160318220344p:plain

f:id:link-hensyubu:20160318220404p:plain

アルティノバ市(写真中央)とディロバス市(写真右)を結ぶ細く白い線は建設中のイズミット湾横断橋(2015年8月当時・Googleマップより取得)