兵庫県西宮レポート・甲東園バルの魅力に迫る (村上直樹)

 近年、地域活性化の取り組みとして「バル」に注目が集まっている。地元の飲食店などが軽食を提供し、集まった客が複数の飲食店を渡り歩くイベントのことだ。
 兵庫県西宮市甲東園では4月25日「甲東園バル」が開催された。京都から来たという男性は、「各地のバルに行くのが趣味です。昨年も甲東園バルに来て楽しかったので、今年も来ました」と話す。京都からわざわざ西宮まで2回も来るほど、どうやらバルには人を惹きつけるなにかがありそうだ。

バル開催日は競合飲食店も味方に

 カフェ CAMELの行列に並ぶ30代の夫婦は、タイ料理店「イサラ」でバルの開催を知ったという。甲東園バルでは、バルに加盟する各店舗がバルのチラシを店内に設置する。そのチラシには加盟店が全てが載っているので他の店へ立ち寄るきっかけになる。

 40代の子連れの男性も「知っている飲み屋からバルのことを聞いて」来たのだという。普段競合相手だと思っていた飲食店同士が、バルのチラシや口コミによって、お互いのお店の売上に貢献しあうこともあるようだ。しかし単にチラシを見たり、バルの話を聞いただけで、バルに行こうと思うのだろうか。

バルの魅力は「新しい飲み屋探し」「安さ」「限定感」など

 近隣に住んでいるという若い女性3人は「近所の店舗探索というか、普段行かないお店に行ってみたくて。バルの加盟店が狭い範囲にまとまっているから、一店一店まわりやすい。」「安いよね。普段行かないお店でも、500円だったら行っちゃおうかな、と思う」と話した。
 若い人の間ではいつもと違う飲み屋開拓のニーズがあるようだ。それに加えワンコインという安さは若い消費者にとって非常に魅力的だろう。

 また2人の子連れの家族は「今日は特に用事がなく、どこか遊びに行くところを探していて、ネットで甲東園バルがあるのを知って来ました。バルの時にしかない限定メニューがあるのもいい」と話した。限定感もバルの魅力の一つだ。

客入り上々、地域全体で生み出す付加価値

 こうした「バル」の成果もあり、甲東園で雑貨屋を営む「逸材屋」の店長Pさんとカレー専門店を営む「カレーの市民アルバ」の店主Aさんは「客入りは普段よりずっと多い」と口を揃えた。

 飲食、小売業界の競争がますます激化するなか、中小規模で地域に根ざして商売をしている店の生き残り戦略も多様化している。個々の店舗の創意工夫だけではなく、地域全体で協力してひとつの付加価値を生み出していくその取り組みに、今後も目が離せない。