<私たち、夢見る乙女です!>腐女子の生態~大豆にはもどれない女たち~

はじめにおことわり

 本稿で述べている事柄は、あくまでも一部の意見ですのでご了承ください。

 

 2013年2月24日午後5時。「腐女子」の生態を探るべく、インタビューを決行した。舞台は大阪。質問に応じてくれたのは二人の20代腐女子のA子さんとB実さん。二人とも小学校5年生のころにその道を歩みだし、腐女子歴は10年を越える。

腐女子って?

 まず、「腐女子」について触れておく。「腐女子=オタクの女の子」といったイメージをもたれる方が多いと思う。オタク気質という意味では類似しているが、実は少しちがう。筆者自身、大学の講義で初めて本意を知ったのだが、「腐女子」とは「BL(ボーイズラブ)」を好む女子のことを指す。消費の仕方は、同人誌を中心に、アニメや映画、ミュージカルなど多種多様だ。既存のキャラクターや人を二次創作でBLにする事もある。インタビューの冒頭で「腐女子とは?」という質問を投げかけたところ、「ホモが好き!」という答えが返ってきた。そういう人たちだ。

BLの魅力って?

 続いて、BLの魅力について聞いてみた。「少女漫画には無いタブー感がいい。それを二人で共有するけど、そこには障壁がありつづける」。恋愛少女漫画にあってBLにないもの、それはハッピーエンドだろうというのが筆者の意見だ。BLの場合、二人の恋が成就したからといってハッピーエンドとは言い切れない。例え物語中で成就したとしても、その背後には社会的タブー感という障壁があり続ける。少女漫画でいう主人公の恋敵役を、社会そのものが担う形だ。その恋敵は永遠に二人の邪魔をする。その背徳的な刹那性がBLの魅力ということだ。同性愛がポピュラーな社会だったら、腐女子は生まれなかったかもしれない。

腐女子は腰が低い?

 「変な目で見られますか?」という質問に対して「偏見は持たれて当然。むしろ普通に読みたい人たちに申し訳ない」と終始低姿勢だった。*1

 BLは原作を二次創作したものがほとんどで、著作権など法律的にもグレーゾーン。黙認してくれている原作作者もいれば、BL仕様の二次創作に前向きな人もいるが、中には絶対に許せないという声もあるそうだ。ちなみに『スラ○ダンク』の作者は断固拒否しているとのこと。「上手く棲み分け、ひっそりとやっていくべきジャンルだ」と二人は語る。

 しかし最近はすこしずつ腐女子の世界もオープンになりつつある。「しょこたんのおかげで生存権は得た」とA子さん。しかし「なにか主張したいことはありますか?」という問いに対しては、「私たちは主張して良いような人たちじゃない」「他の腐女子に怒られる」「出しゃばった腐女子には制裁が加えられる」「電車で同人誌を読むなどあり得ない」とあくまでもひっそり姿勢は貫く模様。これが腐女子の流儀のなのだろうか。

夢小説とドリーマー

 インタビュー中に二人が口にした「夢小説」。それについて尋ねたところ、BLは「キャラクター対キャラクター」の兼ね合いを第三者目線で味わうものだが、対して夢小説は「キャラクター対自分」の設定で書かれていて、読み手が当事者として物語に没入できる。それを嗜む人を俗に「ドリーマー」と呼ぶらしい。ちなみに二人ともこちらの方も大好きで、「私たち、夢見る乙女やもん」とA子さん。紙面の都合上割愛するが、他に腐男子やBLバーなども存在するらしい。本当に世界は広い。

生涯腐女子宣言

 「一生腐女子でいる予定ですか?」という問いには、「日常に溶け込んでいる。抜け出そうと思って抜け出せるものじゃない」と二人とも首を縦に振った。腐女子の年齢層は幅広く、A子さんの母親も腐女子だそうだ。

 「納豆は大豆にはもどれないんやで」B実さんがツイッターで見つけた言葉を教えてくれた。納豆には大豆にない旨味がある。加えて強いくせもある腐女子の全てを語った言葉だろう。今本誌を手にしているあなた。一度、「腐って」みてはいかがだろう。独特の「味」を得ることができる。ただし、大豆にもどることはできないので、要注意だ。(執筆者:大田将之)

 

*1:TM.Revolutionの西川貴教さんは自分を主人公にBLを書く事を認めていて、「書いた同人誌を自分に送ってくれ」「同人誌即売会に買いに行きたい」と発言している程