<人口急増のモンゴル・ウランバートル市>日本の国際協力 要望に応えきれない援助

 モンゴルでは近年、地方に住んでいる人びとが首都ウランバートルに移住し、都市人口が増加している。

 そのため、住居の供給が追いつかず市民の多くはインフラが整っていない場所に移動式住居を建て暮らしている。この地区をゲル地区と呼び、JICA ( 国際協力機構) は状況を改善するために市内のゲル地区の一部を再開発し、マンションや戸建てを建設、再開発対象地区に住んでいる世帯に住宅を無償で提供するという事業を行っている。

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住民のニーズ
理解してほしい

 ウランバートル市の北東にあるゲル地区・ダリエベレフに住むMさんは3年前からここにバイシンという一戸建ての住宅を自分で建設し、家族4人で暮らしている。

 長女Yさんは「室内にトイレとシャワーと暖房を設置して、ここに住み続けたい」と語った。ただ、マンションに住むのには抵抗がある。広い空間での生活に慣れており、限られた空間での生活は苦痛に感じるためだという。また、「玄関から出たら土が踏める」環境の中で住みたいとも話す。マンションだと、自然と触れ合う時間が少なくなる。自然とともに暮らしてきた一家にとってそのような環境は耐えられないそうだ。

 JICAのゲル地区再開発事業に対して、Mさんは「私たち住民のニーズをきちんと調べてから、事業を行ってほしい」と希望する。

バイシンで
暮らし続けたい

 同地区に住むBさん(39)は1年前から2階建てのバイシンに妻と二人で暮らしている。水は井戸から汲み、トイレは汲み取り式の外トイレを使用。「もし再開発事業の対象地区になったら、一戸建ての住宅を希望しようと思う」と語る。

 しかし、Bさんの妻は現在のバイシンに暖房とトイレ・シャワーを設置し、この土地住み続けることを希望する。また、狭い空間には住みたくないのでマンションの一室での生活は選択しないという。

 再開発事業によって無償で提供されたマンションに入居し、生活が快適になったという住民もいる。JICAの援助活動に対して感謝を述べる者もいた。一方で部屋が狭い、生活スタイルが合わないという理由でゲル地区に戻る住民もいるという。開発援助が被援助国の人びとすべてに喜ばれているわけではない。誰のための開発なのかということをさらに意識し、開発援助に取り組むべきだろう。(匿名希望)

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Googleマップ上からも確認できるウランバートル市のゲル地区(写真中にある白い丸はゲル)