16号(2016年4月発行)

<書評>独特な文体から浮き上がる物語・『恋文の技術』 (森見登美彦・ポプラ社)

物語の舞台は、京都から少し離れた能登半島だ。京都の大学院に在籍する主人公の守田一郎は教授に命ぜられ、能登半島臨海実験所にクラゲの研究をするためにやってきた。 森見登美彦は作品のあとがきで「夏目漱石の書簡集がおもしろかったので、とにかく真似し…